戸籍について
亡くなった方の出生から死亡までを繋げる戸籍謄本が必要
銀行などの手続きで多く耳にするこの言葉ですが、実は多くの方がこの戸籍謄本を収集することで暗礁に乗り上げご相談に来られます。それはなぜか、ということを解説していきます。
年金等の手続きに必要なのは現在戸籍のみだが
戸籍は、大きく分けて、現在戸籍(現戸籍)、除籍、改製原戸籍の3種類があります。多くの方は相続手続きにおいてまずは年金手続きのための現在戸籍を取得されます。年金の場合は主に、「故人が亡くなったこと」を確認するものなのでこれで事足ります。または生命保険の手続きにこの現在戸籍を取得されて、戸籍謄本と言えばこれでしょ。と思われている方が多いです。しかし対銀行さんや、不動産の名義変更になるとそういう訳にいきません。
戸籍は婚姻、転籍、そして改正等で新しくなった場合に過去の全ての情報は掲載されない
一番新しい戸籍謄本には故人が亡くなったことが掲載されています。しかしその戸籍謄本ができた日にちが大切です。特に婚姻や転籍が無い場合でも、戸籍は平成6年の法改正により新しくなりその前の情報は掲載されていません。つまりは、「その前には違う人と結婚されていてお子さんがいらっしゃったのでは?」という推測がたってしまうのです。では「この戸籍謄本がいつできたか?」という所を読み込む必要があります。
法改正は平成6年ですが、実質の改正日は自治体によって異なります。またこの部分からそれ以前の戸籍がどこの自治体にあるのかも確認することができます。
改製原戸籍
改正の一つ前の戸籍を改製現戸籍と言います。この戸籍謄本は縦書きになっていて手書きですが、比較的読みやすい文字になっています。
この改製原戸籍により子供やご両親やご兄弟を確認して相続にが誰かということを確定させていきます。改製原戸籍も婚姻や、転籍や、改正により従前のものが存在していることが多くあります。多くの場合は、婚姻をきかっけにできたものになるのでその前の情報は掲載されていないということになります。
昭和23年より前の戸籍
改製原戸籍は昭和23年、つまりは戦争をきっかけに改正されました。この時代の戸籍謄本は、記載されているのが「世帯単位」ではなくて「家単位」になるので、同じ戸籍に戸主から配偶者や子供、その子供の配偶者や子供まで記載されているので非常に見ずらいものになっています。この戸籍がいつ作成されたかを確認し、故人の出生までさかのぼるようになります。
古いものは旧民法や異なる文字も出てくる
その従前になると旧民法が適用され、今と法定相続人の考え方が違う場合もあります。例えば家督相続といって、後継者が全ての財産を相続するという時代もあったのです。またこの年代の戸籍謄本になると文字も非常に読みづらく、また漢数字などは現在と違うものになっています。
県外などの場合は専門家に任せる方が
戸籍謄本の取得は故人の最終本籍地の一箇所で完了する場合はともかく、ふるさとが違う場合などは他の自治体で取得する必要があります。
距離的に行ける所であれば良いのですが、県外などの場合もあり得ます。その際は郵送でも取り寄せできますが、郵便局で小為替を購入する必要があったり、書式の記入の仕方がわからないなどのご苦労をされている方が多くあります。そんな時は専門家に任せてしまった方が対時間効果、対費用効果的に良い場合もあります。
ご兄弟の戸籍を取得される場合も専門家が便利
また故人の戸籍謄本の他に、相続人の現在戸籍も必要になります。その際に、ご自身の戸籍謄本はともかくご兄弟の分が必要なケースがあります。その場合は第三者請求となり戸籍謄本ではなく戸籍抄本での取得や、自治体に関して取得する理由や提出先を細かく説明する必要がでてきます。行政書士や司法書士などの専門家に任せた場合は、職務上請求書というのを使って取得するのでここらもお任せすることができます。
もし自分で取得される場合のお勧めの書籍
もし自分で取得されるのであればこちらの小冊子をご購入されることをお勧めします。
菊池行政書士事務所(茨城県取手市藤代南3−11−5)さんが発行されたものです。
戸籍収集に関する書籍は色々あるのですが、サンプルを用いて短くわかり易くお伝えいただいています。
戸籍謄本についてのその他の説明はこちら
この戸籍制度は明治5年に開始され、戸籍制度が開始されてから、5回の改正がありました。
また、除籍簿等の保存期間が80年から150年に延長されました。
まずは、3種類の戸籍についてご紹介いたします。
現在戸籍
今現在、普通に戸籍謄本を請求した場合に受取る戸籍はこちらになります。
また、「謄本」とは戸籍全体の写しのことをいい、そのうちの一人だけの写しを、「抄本」と呼びます。
亡くなった方の戸籍をとる場合、必ず「謄本」を取る必要があります。
除籍
除籍とは、その戸籍にいる人全員が転籍や死亡などにより、戸籍からいなくなった状態のことを言います。
また、戸籍から抜けるて、バツ印がついている状態も除籍と言います。例えば、婚姻をして、新しく戸籍を作り親の戸籍から抜けると除籍となります。死亡した時も除籍されます。
戸籍収集の際には、除籍されている相続人の除籍謄本を取る必要が出てきます。
改製原戸籍
戸籍法が改正されて、作り直された時以前の戸籍が「改製原戸籍」です。
戦後、昭和23年式戸籍になった前のもの、平成6年の法改正でコンピュータ化された以前のもの等があります。戸籍簿の表紙の右欄外に「改製原戸籍」と書かれています。
正しくは「かいせいげんこせき」と読みますが、専門家の間では「はらこせき」や「はらこ」と呼ばれます。
戸籍の種類
平成6年式コンピュータ戸籍
以前の戸籍は縦書きでしたが、順次横書きのコンピュータ化された戸籍に変わっています。
昭和23年式戸籍
戸籍の単位が、「家」から「家族単位」に変わりました。
「戸主」が「筆頭者」に変わり、「華族」「平民」などの身分呼称もなくなりました。
実際には昭和32年~昭和40年くらいの間に昭和23年式戸籍に変わっていきました。
大正4年式戸籍
「戸主トナリタル原因及ヒ年月日」という記述が廃止され、戸主の事項欄に記載するようになりました。
このあたりの戸籍が出てくる場合は、複雑となるケースも多くみられます。
明治31年式戸籍
戸籍の一枚目に「戸主トナリタル原因及ヒ年月日」欄が作られました。筆で書かれた読みにくい戸籍に出くわすことが多くみられます。
このような古い戸籍が出てきたら、専門家に見てもらうことをおすすめします。
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